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毎日、ちょっとした手助けをしよう |
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治療を受けるご本人から、「パートナーのちょっとした心づかいや優しさがとても嬉しかった」という声をよく聞きます。大げさでなくともいいのです。たとえば、荷物を持つ、家事を手伝う(風呂場の掃除は特に喜ばれます)、疲れた顔をしていたら「無理しないで休め」と声をかける、というような、ちょっとしたことです。日常生活のさまざまな場面であなたの優しさや思いやりを感じることは、ご本人にとって心癒されることです。それは、ご本人が前向きに治療に取り組むエネルギー源にもなります。 |
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一緒に考えよう |
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特に診断直後は考えなくてはならないことが山積みです。多くの方にとって心の準備が整わない時期でもありますが、この時期に治療の選択や、家庭のこと、職場のことなど、決めなくてはならないことが一度に押し寄せて、ご本人は押しつぶされそうな気持になることさえあります。そのようなとき、「君の好きなようにしていいよ」と言ってしまうと、(たとえそのつもりはなくても)ご本人には非常に冷たく突き放したように響いてしまいます。すぐに答えが出なくても、二人で一緒に考えてみてください。一人であれこれ悩むよりも二人で相談したほうがいいアイデアが出ますし、お互いの心配のタネがわかってコミュニケーションに役立ちます。思いがけない誤解をしていたことに気づくこともあります。一つ一つの問題点を一緒に整理することで対応の糸口も見つけやすくなるでしょう。 |
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察するのではなく、聞きましょう |
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愛する人が病気にかかるのは、非常につらいことです。何とか役に立ちたいと思っても、苦労やつらさを肩代わりして体験することはできませんし、相手の気持ちの変化を100パーセント正しく察することもできません。ご自分をはがゆく思うことがあるかもしれません。そういうときには、あれこれ察するのではなく、ざっくばらんにご本人に聞いてみましょう。今まで以上にコミュニケーションをとり、ご本人の今の心配ごとや、あなたにしてほしいことなどをざっくばらんに教えてもらいましょう。直接聞くことで、行き違いや取り越し苦労を解消し、ご本人の状況にあった手助けをすることができます。 |
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照れずに愛情を伝えよう |
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心細いときこそ、愛情表現の言葉は嬉しいものです。「愛している」「君が大切なんだ」と、(それまで言ったことのないセリフでも)思い切って伝えましょう。面と向かって話すのは照れるという方は、メールや手紙でもよいでしょう。 |
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言葉では伝えきれないとき |
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どんな言葉でも伝えきれない感情はあります。そんなとき、黙って手を握ったり、静かに抱きしめたりすることが、千の言葉を超えることもあります。 |
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ご自分のコンディションも大切に |
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大切な人の病気は、あなたご自身のコンディションにも少なからず影響するはずです。意識していなくても、心身のストレスがかかっているものです。こういうときは、自分だけで頑張らず、遠慮なく周囲の手助けをうけて、ご自分のからだと心をゆったりさせる時間もとりましょう。一人でゆっくりする時間も必要ですし、そのような時間を確保することに罪悪感を覚える必要はありません。 |
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文責: 獨協医科大学公衆衛生学講座准教授 高橋 都 |
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