呼吸器外科


対応疾患

呼吸器外科では原発性肺癌や転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫などの呼吸器系悪性腫瘍について、総合的な診断、手術を中心とした治療、術後のフォローアップ、そして再発に対する治療を行っています。その他にも良性腫瘍や気胸、膿胸などの診断と治療も積極的に行っています。年間約250例の呼吸器外科手術を行っており(図1)、胸腔鏡やロボットを使用した低侵襲手術・高度先進医療を積極的に推進しています(図2)。
また、血胸、壊死性降下性縦隔炎等、緊急性の高い疾患につきましても対応が可能ですので、気胸を含めて対応が悩ましい緊急・準緊急の症例がございましたらいつでもご相談ください。



診療体制

4名のスタッフと1名の外科後期研修医の計5名で診療にあたっています。うち、スタッフは4名全員が外科専門医で、そのうち3名は呼吸器外科専門医です。上述の通り、先進医療も積極的に行っており、呼吸器外科専門医のうち2名はロボット支援下胸腔鏡手術の資格 (Certificate da Vinci system as Console Surgeon) を有しています。


治療について

呼吸器外科では年間約130例の原発性肺癌、約40例の転移性肺腫瘍、約20例の縦隔腫瘍への手術を行っております。
ほとんどの手術で胸腔鏡を用いた完全鏡視下での低侵襲手術 (約2-4cmの傷数カ所) を行っています (図3)。近年、ロボット支援下胸腔鏡手術、単孔式胸腔鏡手術にも取り組んでおり、より低侵襲でかつ根治度の高い手術を積極的に行なっています。早期肺癌に対しては、縮小手術(区域切除や部分切除)を適応する場合もあります。
当科にご紹介頂いた後は、可能な限り早急に治療方針を確定し、手術を行えるように努めています。当科初診から手術までの期間は、紹介時の検査の進み具合にもよりますが、原発性肺癌でおよそ2-4週間ほどです。患者さんの状態によっては、より早期に手術を行うことも可能です。


併せて局所進行肺癌に対しては、内科・放射線科合同のカンファレンスで治療方針を決定した上で、化学療法、放射線療法を併用した集学的治療の一貫として拡大手術に積極的に取り組んでいます。手術の際は他臓器への浸潤所見に応じて、心臓血管外科、整形外科、消化器外科と協力し、安全性の高い根治切除を行なっています。
また、縦隔腫瘍に対しても高度先進医療としてロボット支援下胸腔鏡手術を行い、着実に症例数を重ねています。
当科は日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)、西日本がん研究機構(WJOG)、九州肺癌機構(LOGIK)といった臨床試験グループに参加しており、多くの治験、臨床試験にも積極的に参加しております。同意が得られた該当患者さんにおいては積極的に試験に参加していただくことで、今後のより良い治療につながるエビデンスへの構築に貢献することも心がけております。


研究について

呼吸器外科では、医学・医療の発展に貢献するため、精力的に基礎・臨床研究に取り組んでいます。肺癌などの胸部悪性腫瘍に関する研究を中心とし、肺移植に関する研究も行っています。近年、肺癌に対して免疫療法が日常診療で使われるようになりましたが、当科でも新しい免疫療法を開発するための研究を行っています。また、AIを利用した研究も積極的に進めています。さらに、術後に行う抗がん剤治療に関する多施設共同の臨床試験などにも参加しています。以下は、現在当科が取り組んでいる臨床研究の一部です。

腫瘍免疫に関する研究
AIを用いた研究
分子標的薬の耐性機序に関する研究
癌の生物学的研究
その他
臨床試験
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